第Ⅱサムエル3:1-16

サウルの家とダビデの家の間に長い戦いが続いていました。その間、アブネルがサウルの家で勢力を増していたことに注目する必要があります。それは、アブネルが戦いを利用してサウルの家すべてを飲み込もうとしていたわけです。サウルの側女と通じていたことでみて取れます。彼は勝利や国の復興には関心がなく、自分の欲や目的のことばかりに集中していました。サウルの家が滅ぼされるもう一つの原因はアブネルにあるのです。

アブネルは、共同体の将来より自分の利益のみを考える人でした。このような人は警戒すべきです。共同体の健全さと自分の健康のためです。何が共同体を分裂させるかを見極めなければなりません。また、自分もアブネルのように自分の利益のみを求めて生きていないか顧みる必要があるでしょう。聖書は、「あなたは若い時の情欲を避け、きよい心で主を呼び求める人たちと共に、義と信仰と愛と平和を追い求めなさい。(Ⅱテモテ2:22)」と言っています。したがって、私たちは自己中心的な考えと心を捨て、共同体の利益のために励むべきです。

一方、面白いことに、個人の利益を求めるアブネルを通して神様は御心を成し遂げます。アブネルは、イシュ・ボシェテの言葉に腹を立て、サウルの家をダビデの手に渡すと言っています。9節10節を見ると、主がダビデに約束なさった通りのことを行うと言っているのです。

ここで、アブネルがいかに高慢な人であるかが分かります。一つは、神様の御心がダビデにあるのを知りながら、自分の利益のためにサウルの家を利用しています。二つ目は、自分がイスラエルをダビデの手に渡すことにより、神様のご計画を成し遂げるかのように言っています。主君を裏切りながら、表では主のためだと言っているのです。

実際にこれは神様の御心でしたが、アブネルの裏切りにより主の御心が成し遂げられるとは誰も思っていなかったでしょう。神様の働かれる方法を私たちは決して分かりません。ただ、驚くばかりです。したがって、私たちはどんな状況の中でも恐れることも落胆する必要もありません。主を堅く信じて一歩一歩進んで行く人に神様は必ずその御心を現されるからです。

主の約束を信頼できない理由は何かを考えてみましょう。